一生懸命やっている"マーケティング"で会社を潰す?
マーケティングという言葉を聞くと、
多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、次のようなものです。
・SNSでバズらせる
・広告運用で一発当てる
・新しい集客媒体を見つける
・アルゴリズム攻略をする
どれも間違いではありません。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
マーケティングの原則3Mに関するよくある勘違い
マーケティングには、古典的ですが今も有効な原則があります。
それが、
3M(マーケット → メッセージ → メディア)
という考え方です。
大切なのは3つあることではなく、3つが階段の構造になっていることです。
この順番を間違えると、
どれだけ頑張っても成果は安定しません。
ほとんどの企業がハマる「メディア探しギャンブル」
多くの企業がやってしまうのは、次の流れです。
「最近◯◯が流行っているらしい」
「競合がTikTokを始めた」
「この広告手法、当たるらしい」
そして、
マーケットもメッセージも固まらないまま、
とりあえずメディアに手を出します。
これはマーケティングではなく、
宝探し型のギャンブルです。
一時的に当たることはあります。
しかし、再現性はありません。
なぜなら、
「誰に、何を伝えるか」が決まっていないからです。
3Mの起点は、常に「マーケット」
マーケティングで最初に決めるべきなのは、
マーケットです。
・誰のための商品なのか
・どんな悩みを持っている人か
・どんな状況で困っているのか
・何にお金と時間を使っている人か
ここが曖昧なままでは、
どんなメッセージも刺さりません。
安売りループに陥る企業の多くは、
実は「商品が悪い」のではありません。
マーケットの定義が雑なのです。
「誰にでも役立つ」
「幅広い層に向けている」
こうした言葉が出てきた時点で、
マーケット設計は失敗しています。
・誰が困っているのか?(状況/役割/属性)
・なぜ困っているのか?(価値の欠損)
・今どんな判断軸を持っているのか?(比較点/代替品)
ここを言語化できるとその後の工程が流れるようにスムースになります。
メッセージが弱いと価格でしか勝負できなくなる
マーケットが決まったら、次はメッセージです。
ここで重要なのは、
機能やスペックを語ることではありません。
伝えるべきなのは、
受け取る顧客にとっての価値です。
・なぜこの商品なのか
・なぜ他ではダメなのか
・なぜ今なのか
この「理由」が伝わらなければ、
顧客は判断材料として価格しか持てません。
その結果、
・競合が下げたら自分も下げる
・利益が薄くなる
・疲弊する
という、安売りループに入っていきます。
価格競争は、
商品やサービスの問題ではなく、
メッセージ設計の失敗です。
競合と同じ土俵に立った瞬間負けが確定する
「よくある存在」になった瞬間、
比較軸は価格しか残りません。
ドミノ・ピザが
「美味しさ」ではなく
「30分以内に届く」を打ち出したように、
重要なのは、
比較される軸そのものを変えること。
これはテクニックではありません。
マーケットとメッセージの設計の話です。
・何を基準に選ばれたいのか
・何で比較されると有利なのか
これを決めずにメディアに出ても、
露出が増えることで、
価格競争が加速するだけです。
高額が広告費に見合う効果が出ないだけでなく、
抜けられない広告依存(負のスパイラル)に陥ってしまうリスクもあります。
メディアは最後に選ぶ「手段」にすぎない
適切なメディアとは、届けるだけでなく、
顧客の意思決定の仕方を設計している場所でもあります。
同じコンテンツでも、受け手の判断プロセスが違えば
評価基準そのものが変わるという意味ではとても大切な要素であることは間違いありません。
ただ、メディアありきではないという点が重要です。
マーケットが決まり、
メッセージが固まって、
初めてメディアを選びます。
というか必然的に決まります。
・その人はどこにいるのか
・どんな情報の受け取り方をするのか
・判断までにどんなプロセスを踏むのか
これによって、
・SNSがいいのか
・検索がいいのか
・広告がいいのか
・オフラインがいいのか
が決まります。
マーケティングの本質は「レバレッジ」
マーケティングが強力なのは、
大きなリスクや莫大な資金をかけなくても、
結果を何倍にもできるからです。
ただ、
正しい順序で設計された場合に限られます。
この順番を守るだけで、
・価格競争から抜けやすくなる
・集客が安定する
・ビジネスが消耗しにくくなる
という変化が起きます。
もし今、
「頑張っているのに報われない」
「集客が運任せになっている」
と感じているなら、
見直すべきは、
メディアではなく、マーケットとメッセージかもしれません。
マーケティングは宝探しではありません。
構造を作る仕事だと考えています。
これができると
時代で入れ替わるメディアに振り回れることも
競合に振り回されて安売りすることも
悲壮な自転車操業に陥ることも
全て予防できます。
改めて3Mについて整理
3M(マーケット → メッセージ → メディア)は以下のように整理できます。
まずマーケットに問いに答えられるかを考えてみましょう。
| 順番 | 3M | 問い | やるべきこと |
|---|---|---|---|
| 1 | マーケット | ・誰が困っているのか ・どこで困っているのか ・何を比較材料にして判断しているのか | まず顧客が何を見ているのか: 誰の問題なのかを定義する |
| 2 | メッセージ | ・なぜこの商品なのか ・どの価値軸で選ばれたいのか ・どの比較軸を設定したいのか | 次に何を基準に判断しているのか: 判断軸を言語化する |
| 3 | メディア | ・どこで意思決定が起きているか ・どんな判断材料を使っているか ・その環境はどんな信号を送っているか | 最後にどこでその判断が起きるのか: 判断を促す環境を設計する |